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あの娘誰?

ペンネーム:はなさん


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その日は私達の修学旅行で、嬉しくて旅館の部屋で遊んでいたときのことです。もうすぐ消灯という時刻になっても、私も含めて皆、はしゃいでしまい、いつまでも部屋で遊んでいました。私の学校の修学旅行はちょっと変わっていて、部屋を割り当てる際、別のクラスの生徒と同じ部屋になるようになっていました。それだから、同じクラスの生徒が私を含めて五人、違うクラスの生徒が五人の計十人が同じ部屋にいました。

しかし、皆そんなことは関係無く、元々、同じクラスメートだったかの様に親しくしていました。そんなとき一人が、
「ねぇ、もういい加減にした方が良いよ。もう寝てる娘がいるよ」
と言いました。それでふと周りを見回すと、一番出入口に近い布団に、たしかに人が寝ています。こちらに背を向けて寝ていたため顔は見えませんでしたが、他のクラスの生徒だということは分かりました。最初の内は皆、その寝ている生徒に気をつかって少し大人しくしていたのですが、結局、消灯時間になる頃にはその生徒のことも忘れて騒いでいました……

翌日、私達一行は、その旅館を後にし、別の旅館に移動しました。私の学校では、毎日、その日に宿泊する宿が変わるのです。しかし、部屋割りは昨日と同じメンバーで、私達はだんだん親しくなって来たこともあり、その日は消灯時間を過ぎても話が尽きません。

その時、違うクラスの生徒の一人が、
「ねぇ、昨日さ、早く寝ちゃってた娘って、あなた達のクラスの娘よね?」
と問い掛けました。
「ううん、私達のクラスの娘じゃないよ、あなた達のクラスの娘でしょ?」
と私は答えました。すると、その答えを聴いてその娘は驚きながら、
「違うわよ、だってあのとき、私のクラスの娘は皆おしゃべりしてたじゃない」
「えっ!?そんなバカな、私のクラスの娘だって皆起きていたわよ。だから、あなた達のクラスの娘だって思ってたんだから……」
私の返答を聴いてその娘は黙ってしまいました。いえ、部屋にいた全員が沈黙してしまったのです。
「……そういえば、誰もあの娘の顔を見たこと無いのよね。誰もあの娘のこと、知らないわ……あの娘……誰だったの?」
誰かがそうつぶやくと、遠くで、
ボーン……ボーン……
と夜中の0時を告げる旅館の柱時計の音が聞こえて来ました。その時です。
コンコン……コンコン……
と部屋の戸を叩く音がしました……

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