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学校に佇む少年

ペンネーム:ミンクさん


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ある日、私は体育の授業中に何者かに、運動靴のかかとの辺りを踏まれて派手に転んだ。丁度、長距離走の授業で、まだ一週目、少しずつ速度を上げていたときであったため、それはひどい傷を負ってしまった。

私は自分の運動靴のかかとを踏んだ者にたいそう腹を立て、その転ばせた奴を見てやろうと立ち上がり、振り返ると、たしかにまだ一週目であるから同級生が固まって走っているのは当たり前なのだが、不思議なことの私の後ろには誰もいなかった。私の靴を踏んだ後に私を避けてもう走って行ってしまったのだろうか?

いや、それはおかしい、よくよく思い出してみると、私はスタートしてすぐ列の最後尾に並んでスタートしたので、私の後ろには初めから誰も居なかったのだ。じゃあ石か何かにつまずいて自分で勝手に転んだんだろうか? それでも合点が行かなかった。辺りにつまずくような物は落ちていなかったからだ。

それに、あのつまずいた瞬間、たしかに何者かが靴のかかとを踏む感触が鮮明に残っていた。元にかかとの踏まれた所が痛かった。その時は不気味ではあったが、まあ、気のせいだろう、何かつまずくような物が落ちていたんだと思うことにした。

家に帰り母に今日のその不思議な体験を話すと、
「ああ、あそこね。以前行ったときから見えていたんだけれど、古い学生帽に古い学ランを着た男の子が立ってたのよね。たぶん、その子じゃないかしら? 寂しそうだったし」
と言った。ただ、私は母のお化けに転ばされたという事実が信じられず。いつしかそんなことも忘れていった。

そして、しばらく経ってから、ある日担任の先生が珍しく学校の昔話をしてくれたときだった。
「この学校は昔はな、学生帽があったんだよ」
私は大変ドキッとした。そして、先生が話を進めていくうち母が以前語ってくれたその少年の幽霊と私の学校の昔の制服が大変酷似していたのだった。やはり、母の話通りそこにいたのだろうか?

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