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仮眠室

ペンネーム:父さん


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私が昔、働いていた警備会社に仮眠室がありました。会社の隅に小さくポツンとありましたが警備員の誰一人そこで仮眠を取っているところを見たことがありませんでした。例えば夜中、警備員が机に突っ伏して寝ていたので別の警備員が気を利かせて(仮眠室で少し休んだらどうですか?)と声をかけても(うん、ありがとう)と言うだけでやはり仮眠室に行こうとはしません。誰もがその仮眠室を避けているようなそんな印象を受けました。

ある日、私は警備の仕事のため夜勤を命じられました。夜中の0時を回った頃でしょうか、私は急な眠気に襲われて仕事に専念できなくなりました。 (このままじゃいけないな、ミスでも起こしたら大変だ。ちょっとだけ、仮眠室で休もう……) 私は仮眠室を使ったことが無かったので特に躊躇するでもなく仮眠室に足を踏み入れました……

仮眠室の中は比較的に狭くベッドがいくつか置いてある以外はこれと言って目を引くものはありません。ベッドの上には誰も寝ておらず、どこでも好きな場所で寝られる状態でした。私は一番奥のベッドに横になりました。どれくらいの時間が過ぎたでしょうか、突然部屋の中に誰かがいる気配を感じました。
(ああ、誰かが仮眠を取りに来たんだな……)
そんなことを思っているとその気配が私の方に近づいて来ました。
(私に何か用があるのかな?だったら、起きて用件を聞こうか……)
そう思い起きようとするのですが、頭は起きているのですが体がついてきません。
(参ったなあ、こんなに疲れてたっけ……)
そうこうしている内にその気配は私から離れて、部屋の中を行ったり来たりし始めました。
(……一体何をしているんだ?何の用があってこの部屋に来たのだろう?)

私はだんだんと恐怖が沸き起こり始めました。泥棒かと思ったからです。
(うわぁ、嫌だな泥棒かなあ、嫌だなぁ困ったなあ)
相変わらずその気配は部屋の中を歩き回っています。私がこれからどうするか考えていると、一つ妙なことに気づきました。
(そういえば、この気配の主がこの部屋に入って来たときにドアが開いた音したっけ?)
この会社はもう古く特に仮眠室の扉は立て付けが悪く開閉するときとても大きな音がします。しかし、この気配はまるで最初からこの部屋にいたかのように突然現れました。とすると、
(こいつ、どこから来たんだ……)

そのときです、急に私の寝ているベッドが波打って揺れ始めました。それも、ものすごい揺れです。さらに急に胸が苦しくなり動悸が激しくなってきました。ものすごく苦しく、起き上がろうとしましたが体が動きません。妙な気配はどうやら私のことを見ているようなのです。 (絶対目を開けちゃいけない、目を開けたら目の前にいる) 私はもう死んでしまうのではないかと本気で思いました。

しばらくして、私は目を覚ましました。辺りを見回しても特に変わった様子はありません。
(夢か?)
もし夢だとしても妙にリアルな夢だったな。でも夢で良かった。私は安堵して仕事に戻りました。机につこうとしていたときに、同僚の警備員がやってきて、
「さっき、仮眠室から出てきたようだけど……大丈夫だったかい?」
と訊かれ、やっぱり夢じゃなかったんだと分かりました。(ああそうか、だから古くから勤めている方は、そこを使わないんだ)と納得しました。

その後私は二度とこの仮眠室を使うことはなく、そのまま転職しました。今ではその会社も場所を移したためその建物は無くなりました。今でも忘れられない経験です。

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