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帰れない

ペンネーム:かずちゃんさん


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その日、祖父が亡くなったと親戚から訃報が届いた。両親はいるかと訊かれたが、普段なら配達を終えて帰ってきているはずの両親は、あいにくの留守だった。私はそのことを伝えると、「じゃあ、帰ったらすぐに連絡を寄こしてくれ」と言うか言わないかの内に、電話は切れてしまった。

それから両親が帰宅するまでに、ずいぶん時間が経ったと記憶している。私は両親が帰るとすぐに、祖父の訃報を伝えた。両親はその突然の訃報に驚愕したのと同時に、意味深な言葉を発した。
「あれはそういうことだったのか……」

母が親戚に電話をかけ終え、しばらく経った後に私は先ほど発した言葉の意味を尋ねた。 母は「ああ、あれ?」と言うとその真意を語ってくれた。

「今日もいつもどおりにお父さんと配達に出かけて、品物を納めて、さあ帰ろうと車を家路に向かわせたの。だけど、不思議なこともあるもので、いつも通る帰り道なのにどこを間違えなのか同じ道に出てしまったの。

お父さんも不思議がって、おかしいなあとこぼしてたわ。気を取り直して車を走らせると、また同じ場所に戻って来てしまって。今度こそと慎重に車を走らせて、さすがに三度目だから曲がるところ一箇所一箇所に注意を払って、もう間違いはないだろうと角を曲がると、また、元の道に出てしまうの。とても、不気味で怖かったわ……

もう、家に帰れないんじゃないかと思ったほどだった。それが、しばらく続いて帰りが遅くなったの。きっと、お祖父さんの仕業よ」

そう不気味そうに話してくれました。しかし、仮に祖父の仕業にせよ、なぜわざわざ両親の帰りを邪魔したのでしょうか?本当に祖父の霊だったのでしょうか?あるいは別の…… 今でもわかりません。不思議な出来事でしたので、投稿させていただきました。

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