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鏡の前に……?

ペンネーム:鏡さん


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昔、私が勤めていたビルはとても古い建物で、階段などは薄暗く昼間でも不気味な建物でした。そのビルでは階と階との間、階段の踊り場にトイレがあり、そのトイレもまた大変不気味な物でした。

ある日、私はそのトイレに向かいました。相変わらず薄暗く不気味でしたが、すっかりそんな雰囲気にも慣れた私は、ためらうことなく歩を進めて行きました。トイレは一人用で、誰かが入っているとすぐ分かるようになっています。私は扉の前に立つと様子を伺いました。

すると、扉についている磨りガラスの向こう側が一瞬動いたんです。
(あれ? おかしいな)
と思ったんです。何でそんな風に思ったのかって言うと、そのトイレの扉が微かに開いてたんです。最初、私はトイレに誰もいないと思ってため、磨りガラスの向こう側で人が動いたのを見たときおかしいな?って思ったんです。それで、ここしかトイレがないので、仕方なくその人物が出てくるのを待っていたんです。

――で、しばらく待ってたのですが、一向に出てくる気配がないので、何してるんだろうな? 何て思っていると、やっぱり磨りガラスの向こう側で何者かが動いてるのが見えました。うん? 一体何してんだろう?って思ってたら、どうやらその人物女性のようで、鏡に自分を映して髪をとかしているような、そんな仕草をしているんです。ああ、身だしなみを整えてるのか、しかし早くして欲しいな~何て思って待ってました。

すると、突然背後から、
「何してるの?」
って職場の先輩が声を掛けてきたので、一瞬ウワッと驚きました。
「あ、何かトイレ誰か入ってるみたいなんで、次の番を待っていたんです」
と説明しました。すると先輩、え?って言って、トイレのドアノブを握って扉を開けたんです。

その瞬間とてもビックリしました。というのも、誰もいなかったからです。あんなに鮮明に、磨りガラスの向こうで人が動いているのをたしかに見ていたのに、誰もいなかったんです。
そんな、じゃああれは?
「何よ。誰もいないじゃない」
先輩が不審そうな顔をして言うので、
「でも、たしかにいたんです。女性が髪をとかしている仕草を見たんですよ」
「疲れてるんじゃないの? 先、私入るわよ」
そう言って、先輩行ってしまいました。今でも忘れられない不思議な出来事です。

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