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車を襲う人たち

ペンネーム:ドライブさん


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彼と山へドライブに行ったときに体験したお話です。時間は昼間でしたが、山道の両側から伸びる枝葉が日の光を遮っていたためどこまで行っても薄暗い道でした。しばらくそこを走っていたのですが、彼は不意に車を路肩に止めてしまい、
「朝から運転してたから眠い。少し寝かせてほしい」
と言って。さっさとシートをうしろへ倒してしまいました。

薄暗く気味の悪いそんなところで時間を潰すのはイヤでしたが、運転免許証のない私にはどうすることもできません。4~5分ほど経ったころでしょうか。辺り一面に重苦しい空気が立ち込めて来ました。

――と、突然フロントガラスに何かがぶつかりました。大きな衝撃が走り、車が揺れます。それは男の人でした。フロントガラスを上から下へと滑り降りるようにしながら、ガラスを何度も何度も叩いています。手のひらは異様に大きく、目は血走り、Tシャツと破れたズボンを身に着けたその男は、恨めしそうにこちらをにらみつけています。

その男だけではありません。車の周りには同じような格好をした人たちが車を取り囲み、一斉に窓ガラスに手のひらをぶつけてくるのです。車はたまらず前後左右あちこちに揺れています。私は恐怖のあまり身をすくめました。そして辺りを見ないようにしながら、それに耐えていました。早くどこかへ行ってほしい。そう思うのですが、彼らは窓ガラスを叩くのをやめようとしません。

――と、エンジン音が響き渡りました。薄っすらと目を開けると、彼が眼を覚ましていて、車のイグニッションキーを回しているところだったのです。辺りを見回しましたが、すでに彼らはどこかへ行っていました。あんなにもたくさんの霊は一体何をしたかったのでしょうか? 単に私を驚かせたいだけだったのでしょうか? いま思い出しても恐ろしい体験でした。

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