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海から来た女

ペンネーム:かーねるさん


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これは私が高校に入学したばかりの頃の話です。あまりにも恐ろしくて、今でも鮮明に思い出す事ができます。「その日」は高校に入学して四日目くらいでした。私は入学してすぐに友人ができたので、その日も入学時にできた友人の事を母に話したり、朝のニュースを見たりしながら朝ご飯を食べていました。

まだまだ登校時間まで時間があったので、
(そろそろ準備しなあかんなー…)
と思いつつも母と話して笑っていたら、いつの間にか、部屋の中が磯の匂いで満ち溢れている事に気が付きました。

はじめは、
(なんやろう、気のせいかな?)
と思ったのですが、やっぱり磯の匂いがします。

なので私は台所にいた母にすぐ、
「なぁ、今魚か何かを調理してるん? なんか磯臭いな??」
と尋ねました。しかし母は不思議そうな顔をして、
「え、今うちに海鮮類何てないし、お母さんは自分の分のたまご焼きを焼いてるだけやで。磯の匂いもしいひんけど…」
とこたえました。

けれどやっぱり、私には磯の匂いがしました。あきらかに、海の周辺を歩いた時の様な感じの匂いです。すると、私が磯の匂いを感じて母に尋ねてからすぐ、今度は私の背後にだれか人が居る様な、ひやりとした嫌な雰囲気を感じたのです。

うちには私以外子どもは居ないし、父は既に仕事へ出かけていて、飼い犬たちもみんな自分の小屋の中で寝ているので、母と私以外に誰かいることなど考えられません。でも誰かがそこにいる様な気がするのです。

それだけでもすごく怖いと感じたのですが、もうすぐ出発しないといけないし、私は意を決して椅子の後ろを振り返りました。

「なにこれ!!! 誰! うわあああああああああ!!」
するとそこには、頭から足までずぶ濡れで、海藻等にまみれ、腐敗したかのような青く変色した肌をした、髪の長い女が立っていて、ひどく血走った目で私を見つめていました。

「なに!? どうしたん!?!?!」
突然私が大声をあげたので台所にいた母は驚いて、この様な感じで声をかけてきましたが、自分の椅子の後ろにいた存在に驚き、パニックになっていた私はそれどころじゃなく、朝ご飯を途中で放り出し、まだ教科書の入りきっていない鞄を抱え、大急ぎで自転車に飛び乗りました。

自宅は山の方な分、高校までは少し距離があるので、とにかく、さっき見た存在を早く振り切りたくて、私は全速力で自転車をこぎました。

しかし、そこで何もなければよかったのですが、なんとその女は自転車に乗る私にもついて来ていて、私からみて右側のところに浮かびながら付きまとってきていたのです。リビングでみたときのような、血走った目をさらに見開きながら。

田畑前を通過する手前でそれに気づいた私はまた叫び、パニックになりながら自転車をめちゃくちゃにこいでいたため、何も見えていない田畑のおじさんからの視線がささりましたが、それどころではありません。とにかく怖くて、その女に消えてほしくて、
「離れろ、離れろ、離れろ」
と、他の通行人から見られようと夢中で唱えながら、校門を目指しました。

そして、あと数メートルすれば高校に着く時。まだまだ女はついてきていたので、 私は無我夢中で離れろと唱え続けます。すると校門がみえてきて、まだ女の存在は感じましたがそのまま全速力で校門に飛び込み、スピードを出しすぎた衝撃で自転車ごと転んで目を開けると、

「大丈夫? あ、あんた!! あんたも高校一緒やったんや! てか凄いスピードで校門入ってきたやん大丈夫???」
という、中学の時から知っている友人の声が聞こえてきたほか、
「大丈夫ですか??」
という、校門に挨拶で立っていた先生の声が降ってきて、そのあと起き上がって周りを見回しましたが、そこには心配してくれた友人と先生だけで、家のリビングに現れつきまとってきた「あの女」の姿はもうありませんでした。

ただ、起き上がった時の私はすごく汗をかき、青ざめた顔をしていた様で、 一番に声をかけてくれた中学からの友人に肩を組んでもらいながら入り口まで向かう時、
「なんか顔色悪いな、大丈夫??」
と心配された他、教室に入っても担任の先生や、後ろの席の子、そして新しく友人となった子にもすごく心配されたことを覚えています。

そこから先、授業が始まってからも女は現れず、もう本格的に帰ってくれたようで安心しましたが、生まれてはじめてあんな恐ろしいものを見てしまった故、その日はまともに授業に集中できませんでした。

授業が全て終わって自宅に帰ってからも母からとても心配され、言い訳に困り、
「私の椅子の下にすごい大きなゴキブリがいたねん」
という内容を思いつくまでに少し時間がかかりましたが(汗)、自宅でも朝以来女は現れなくなったので本当に安心しました。

しかし、今思い出してみればその日は確か月曜で、その日の前日の日曜日は家族で海周辺をドライブしていたので、その時に連れてきてしまったのでしょうか…海など水には霊が集まりやすいともいいますからね…

いまだに凄く鮮明にトラウマとして記憶に残っている為、実は文章を打っている時も一瞬あの女の姿が過ぎり、背筋が寒くなりました。現在私は大学四年となり、実はつい最近もひとつ、小さな怖い体験がありましたが、それ以外は何事もなく、最後の大学生活を謳歌しています。

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